haratkhr技報

SRモータ技術研究所

励磁エネルギーと機械出力

SRモータは、回転子が非正対位置から正対位置まで移行する間に、励磁エネルギーを増加させながら、機械出力を得ています。

すなわち、電源から電流により励磁エネルギーを供給しその一部が機械出力になっています。

電流を一定にすると、励磁エネルギーの増加量、機械出力が一定になります。

 

その様子を以下の例で考察してみました。

励磁エネルギーの供給と機械出力を時間的に分け、巻き線の抵抗はゼロとしました。

 

1.回転子が非正対と正対の中間で、インダクタンスがLのとき、回転子を固定して、電流が一定値Iになるまで巻線に電圧を印加します。

 

2.電流がIになったら、エネルギーの供給を停止し、巻き線を短絡して電流、励磁エネルギーをを保持します。dI/dt=0)

 

3.励磁エネルギーにより、回転子に力Fがかかります。

回転子の固定を解除して、正対位置方向へ、時間⊿tをかけて、⊿X動かすと、力F×⊿Xの機械出力が得られます。

機械出力は励磁エネルギーから供給されるので、励磁エネルギーがF×⊿X減少します。

F=1/2× ⊿L/⊿X×(I)2 すなわち F×⊿X=1/2× ⊿L×(I)2となります。

回転子が⊿X動いたので、インダクタンスはL+⊿Lとなっています。

 励磁エネルギーの減少と、インダクタンスの変化に合うように、電流が⊿I低下しています。

 (巻き線の両端は短絡されているが、内部で仮想速度起電力Eがインダクタンスに印加されて電流が低下します。E/L=⊿I/⊿t)

 

4.回転子を固定して、電流が一定値Iになるまで、再度巻き線に電圧を印加します。

同じ電流Iにもどしてもインダクタンスの変化分、励磁エネルギーは増えています。

 電源より励磁エネルギーの増加分の2倍が供給され、励磁エネルギーの減少分(F⊿Xの機械出力)、インダクタンスの変化による励磁エネルギーの増加分にあてられます。

インダクタンスの変化による励磁エネルギーの増加分=1/2× ⊿L×(I)2

 回転子を固定している時は、仮想速度起電力Eはゼロです。

 

5. 2.へ

 

以下同じループになります。

 

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上記の励磁電流波形は、SRモータをPWM制御している場合の励磁電流波形と類似しています。(モータが回転している場合は、仮想速度起電力Eが発生しているため、印加電圧がE低くなり、電流のdI/dtが低くなります。)

このような動作が連続でおこなわれているのが、SRモータの動作と考えます。

 

考察

非正対時の励磁エネルギーより、正対時の励磁エネルギーの差(サイクルエネルギー)が機械出力となる。

インダクタンスは電流により変化するため、励磁エネルギーの計算は、各電流値でのインダクタンス値を用いる。

 通常、非正対から正対へ移行途中で、励磁を停止し、電源へ回生させ、回生中も機械出力が出し、励磁を停止した時の励磁エネルギーの一部を機械出力にまわします。

 

おことわり

この考察の吟味、検証は出来ていません。