haratkhr技報

SRモータ技術研究所

トランスの設計

トランスの設計は、要求仕様の入力電圧、出力電圧、出力電流、周波数等より、鉄心寸法、ターン数、線径を決めます。

 

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・1次コイルに電圧Vを印加すると励磁電流I0が流れ、

  V=n1xdΦ/dtの関係で磁束が発生します。

・2次コイルに、

  V2=n2xdΦ/dtの関係で2次電圧が発生します。

・2次電流が流れると、磁束が変化しようとしますが、変化を打ち消す1次電流が流れ、磁束は変化しません。

  n2xI2=n1xI1

・Bmは鉄心が飽和しない値に設定します。

・励磁電流を小さくするため鉄心にギャップはありません。

・巻線の抵抗に発生する電圧により、コイルに印加される電圧が低下するため、出力電圧は電流により低下します。

・巻線の電流密度は、一般に3~10 [A/平方mm] です。

 ・鉄心のマドの銅線占有率は、一般に40%以下です。

 

◎高周波トランス

磁束がゼロの時点と最大の時点間の電圧時間積より、最大磁束密度Bmを計算します。

 Bm=(VxT)/(nxS)

 V:ボルト[V]  T:印加時間[s] n:ターン数 S:磁路断面積[平方m]

・一般に鉄心はフェライトコアが用いられ、飽和磁束密度は約0.5Tです。

 

◎商用トランス

電源電圧が正弦波のため、最大磁束密度Bmは下式で計算します。

 Bm=V/(4.44xnxsxf)

 V:ボルト[V] n:ターン数 s:磁路断面積[平方m] f:周波数[Hz]

・この計算式は、高周波トランスの計算式の、印加電圧を実効値、印加時間Tを周波数fに置き換えた式です。

・一般に鉄心は珪素鋼板が用いられ、飽和磁束密度は約1.7Tです。

 

トランス、チョークの特性は計算で求められ比較的容易ですが、温度上昇は実測が必要で対策には手数が必要です。

特性が分かっているトランスより、比例設計するのが良いと思います。