PMモータには、滑らかな回転、精度の高い制御を阻害するコギングトルクがあります。
回転トルクをコギングトルク以上にしないと始動せず、始動後は外乱となるため、できる限り小さくすることが求められます。
一般的に、コギングトルクは以下の通り説明されています。
ロータを動かした際に発生するトルクのことで、電機子と回転子との磁気吸引力が回転角度により変化します。
磁気吸引力は電機子の位置や形状と回転子の磁束分布との相互影響よって生じ、コアと磁石により決まります。
コギングの低減策案
・スキュー着磁をする。
・磁石配置を周方向にずらす段スキューをする。
・正弦波着磁をする。
・両端の厚みが薄い瓦状磁石を用いる。
・コアの外周面のエッジ部分を削る形状とする。
・界磁をスキューする。
・コア数と磁極数の多極化によって磁気吸引力を打ち消す。(10極12スロット,16極18スロットなど)。
DCモータのコギングトルクの例を紹介します。
1. 3極2磁極
コギングトルクはかなり大きく、1回転で6位置(3X2)の脈動があり、対策の為か回転子のコアが一部カットされてます。
2. 5極2磁極
3極より5極に増えた為か、コギングトルクは小さく、1回転で10位置(5X2)の脈動があります。
3. 5極2磁極
2.と同様に5極で、コギングトルクはかなり小さく、ギャップが端部で徐々に広くなっています。
尚、1.の磁石と3.の電機子を組み合わせた時のコギングトルクは小さく、5極の効果が大きいと思います。
SPMモータのコギングトルク例
アウターロータ型SPMモータ のコギングトルクは非常に大きく、1回転で36位置の脈動があります。
希土類磁石の高磁束密度と多磁石極によると思います。
磁石極が少なく、巻線極を多くするとコギングトルクが小さくなるとの結果です。