haratkhr技報

SRモータ技術研究所

角度信号の生成

出力端子電圧より角度信号(出力電圧の極性)を生成する動作を考えます。

 

駆動時出力端子電圧(出力端子とGND間の電圧)は3通りのケースがあります。

1.駆動時

出力端子電圧とGND間の電圧は出力電圧とバイアス電圧が加算されているが、PWM制御により出力電圧とバイアス電圧が変化します。

出力端子電圧の波形例は以下の通りです。

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2.非駆動で回転時

出力端子間電圧が発生していますが、出力端子電圧はインバータの各スイッチがオンしてないため電圧は不定となりますが、出力端子とGND間に抵抗を接続すると、出力端子間電圧が抵抗に印加され出力端子電圧が決まります。

出力端子電圧の波形例は以下の通りです。(雑音が重畳しています。)

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3.非駆動停止時

出力端子間電圧がゼロなので、出力端子電圧はゼロです。

 

1.、2.から、駆動の有無、バイアス電圧に影響されない角度信号を生成します。

生成された角度信号例は以下の通りです。

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PWM駆動のOFF期間の信号がキャンセルされず、重畳していますのでマイコンで信号処理する必要があります。

当然、非駆動時はPWM駆動のOFF期間の信号の重畳はありません。

 

3.からは角度信号は生成できません。

 

角度信号(出力電圧の極性)の生成

いろんな方法が考えられますが、3つの出力端子電圧の差を用いて角度信号を生成します。

・出力端子電圧は出力電圧とバイアス電圧が加算されている。

・3つの出力端子は巻線で繋がっているため、各出力端子のバイアス電圧は同一である。

・出力電圧の合計はゼロである。

 以上より、出力端子電圧の2倍より、他の2つの出力端子電圧を引き、バイアス電圧を打ち消して出力電圧を求めます。

 

出力端子U電圧x2-出力端子V電圧-出力端子W電圧

 =(出力電圧U+バイアス)x2-(出力電圧V+バイアス)-(出力電圧V+バイアス)

 =出力電圧Ux3-(出力電圧U+出力電圧V+出力電圧W)

 =出力電圧x3

出力電圧は交流信号ですので、GNDを中心に上下しますので、この信号をコンパレータでゼロと比較すると角度信号(出力電圧の極性)が得られます。

この場合GNDより低い電圧範囲でコンパレータが動作する必要があります。

 

回路例

コンパレータの入力端子の極性と抵抗の重み付けで減算、2倍を設定しています。

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 上記の角度信号は、この回路で得られたものです。