haratkhr技報

SRモータ技術研究所

回生ブレーキ

古くから使われている電車の回生ブレーキを調べてみました。

 

通常、発電電圧は電源電圧より低く、回転数に比例します。

回転数が低いと発電電圧も低く、電力を電源に回生するには、発電電圧の昇圧が必要です。

 

 1.分巻制御

初期の電車には直流直巻電動機が使われていました。

回生ブレーキを使用する場合は、分巻電動機に組替え、界磁チョッパ制御により発電電圧を電源電圧より高くする方式がありました。

界磁チョッパ制御はオルタネータ でも使われ、エンジン回転数が変化しても発電電圧を一定に制御しています。

 

2.電機子チョッパ-制御

直流直巻電動機の電機子をチョークを介してスィッチで短絡して電流を増加させチョークにエネルギーを蓄積し、その後スィッチをオフさせダイドードを介して電源へ回生電流を流します。

この方式で一般の電車に広く回生ブレーキが採用されました。

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この動作は昇圧コンバータの低圧電源を電機子に置き換えたもので、昇圧の仕組みは昇圧コンバータと同一です。

 

3.VVVFインバータ制御

直流直巻電動機に替わって、VVVFインバータ駆動の誘導電動機が主力になりました。

誘導電動機を回転周波数より低い周波数で駆動すると、スベリが進み、かご型回転子の電流方向が逆、制動トルクとなり電源への回生電流が発生します。

回生電流は回転数でなく、スベリ周波数に比例し、回転数が低くても回生できます。

 三相誘導モータの動作は三相誘導モータ を参考にして下さい。

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現在の新幹線は誘導電動機をVVVFインバータで制御していますが、回生された直流電圧をPWMコンバータを使用して交流架線へ再回生しています。

 

4.PWMインバータ制御

最近、永久磁石同期モータも使用されています。

発電電圧は回転数に比例するため、回生には昇圧動作が必要です。

永久磁石同期モータ毎に、角度検出制御PWMインバータを用い回生しています。

 

上記の回生ブレーキは、全て、回生時に昇圧動作をしていますが、PAM制御 で紹介したシステムは、電圧可変の低圧電圧源へ、直接回生しています。

昇降圧コンバータを高効率にすると、回生の効率が改善できると考えています。