Ni/H2電池(高圧ガス形ニッケル水素電池)を調べました。
負極に燃料電池用の電極と同一のH2極、正極にNi/MHと同一の水酸化ニッケル(Ni(OH)2)、電解液に水酸化カリウムを用いた二次電池です。
Ni/MH電池と比較して、重量エネルギー密度は1.5倍、容積エネルギー密度は1/3倍です。
高い耐久性により、人工衛星など宇宙用の二次電池として使用されています。
・充電時に発生するH2ガスでセル内圧が5∼6MPaまで上昇するため、耐圧容器に封入されています。
・多数の発電素子ユニットを並列接続で、back-to-back(H2極・セパレータ・Ni極・Ni極・セパレータ・H2極・ガススクリーン・H2極という順に積重ね)でスタックを形成しています。
・H2極(負極)は 白金担持のカーボンプラック粉末を使用したガス拡散電極で、充放電による劣化が無く、Ni-MHと比較して高い耐久性を有しています。
化学反応式
放電時
負極では、燃料電池と同様にH2ガスは、電極内の触媒により活性な水素原子(H-H)となり、水素イオンになり電子を供給するともに水酸イオンと反応して、水が生成されます。
正極では、水とオキシ水酸化ニッケル、電子が反応して水酸化ニッケルと水酸イオンが生成されます。
充電時
負極では、水を水素イオンと水酸イオンに分解し、水素イオンは電子を受け取って水素ガスが発生します。
正極では、水酸イオンと水酸化ニッケルが反応して水酸化ニッケルはオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)に変化するとともに、水が生成されます。
過充電時
過充電により酸素が発生しますが、負極表面で水素と再結合反応がおこり処理されます。
過放電時
過放電により生成した水素は圧力容器内であるから不都合はありません。
充放電 電圧/圧力 特性
充放電につれ内圧が変化し、内圧より電池の充電状態が把握できます。
反応中の電解液濃度変化がなく、深い放電深度(80%程度) の繰り返しに耐える原理的に信頼性の高い電池です。