SRモータは固定子及び回転子の突極間でギャップ方向の力と回転方向のトルクが生じている。
ギャップ方向の力はギャップ方向に動かないため仕事はしない。
固定子及び回転子の突極間の力は
突極構造(突極の幅、長さ、励磁コイルの磁路)、
突極間の位置関係(ギャップ長、突極の重なり)、
励磁電流(アンペアターン)、
各部の磁束(ギャップの磁束、突極中の磁束、励磁鉄心中の磁束)
により決まる。
仮想理想鉄心(比透磁率=1000000、飽和密度1.5T、ヒステリシスなし、鉄損なし)を用い下記のSRモータ突極モデルで、検討を進める。
突極は固定でA、B、C、G、電流I等をパラメータとして 突極間の上下方向の力とトルクに相当左右方向の力を求める。
電磁界解析システム(JMAGシステム)、有限要素法等を使えば答えが出ると思いますが、使用環境がありませんので、基礎計算式で検証していきます。
2017 07 15 特性の検証
例えとして、G=1mm、A=2cm、B=4cm、c=1cm、巻数=100ターンとする。
起磁力U=NxI=磁束Φx磁気抵抗R
R=ギャップG/(μxBxC)=G/(4πx10-7xBxC)
1.5Tに必要なUをもとめる。
U=NI=ΦxR=(1.5xG)/(4πx10-7)
=(1.5x0.001)/(4πx10-7)=1194となる。
巻数が100ターンなのでIは12A必要。
Uはギャップ部の面積BxCに関係なく、Cが変化しても、Uが一定なら磁束密度は一定になる。
磁束密度B1.5Tの電圧時間積VT
B=VT/(NxBxC)
VT=BxNxBxC
=1.5x100x0.04x0.01=0.06
V=20VとするとT=0.06/20=3mSとなる。
dI/dtよりL値を計算する。
I=(dI/dt)x3mS
12A =(20V/L)x3mS
L=20V/12A x 3mS=5mH
パーミアンスPよりL値を計算する。
L=Px(N )2
=(N )2/R
=((100 )2x4πx10-7x0.04x0.01)/0.001
=5mH
上下方向の力=((Bg )2xBxC)/(2xμ0 )
=(1.5x1.5x0.04x0.01)/(2x4πx10-7)
= 358[N] となる。
上下方向の力は、磁束密度が一定なら、ギャップGに関係なく、面積(BxC)に比例する。
突極が正対時は2倍の716[N] となる。
左右方向の力を変移量から比例計算する。
左右方向の変移量は、上下方向の変移量の1/10(G=1mm/c=10mm)になる。
左右方向の力=358[N] x1/10=36[N] となる。
Cが変化しても、左右方向の力は一定になる。
左右方向の力をL値の変化量から計算する。
左右方向の力=1/2xdL/dθx(I )2
=1/2x(5mH/0.01m)x(12A )2
=36[N]
ギャップの蓄積エネルギーEと出力
1mmx10mmx40mmの空間が磁束密度1.5Tの場合、Eは以下のようになります。
E=1/2 x 5mH x(12A )2
=0.36[J]
出力[W] =Ex回数/秒となります。
ギャップの蓄積エネルギー密度u
1.5T:u=0.36/400=0.0009[J/立法mm]
下方向の力よりもとめると
u=(上下方向の力xG)/(GxBxC)
=(Bg )2/(2xμ0 )[J/立法m]
=(Bg)2/8π x 10-2 [J/立法mm]
この値は、磁路断面積、ギャップを決めるときに有用です。
仮想速度起電力e
e x I x ⊿t = 2 x E
e = (2 x 0.36[J]) /(12Ax⊿t) = 0.06/⊿t[V]
ギャップ寸法の影響
G=0.5mm:U= 596、I= 6A、L=10mH、上下方向の力=358[N]、左右方向の力=18[N]
G=1.0mm:U=1194、I=12A、L=5mH、上下方向の力=358[N]、左右方向の力=36[N]
G=2.0mm:U=2384、I=24A、L=2.5mH、上下方向の力=358[N]、左右方向の力=72[N]
となりギャップ寸法の影響は大きい。
尚、実際のSRモータでは、ギャップは2箇所に出来るため、1/2となります。
上下方向の力は、大きく、Cの変化により変化するため、固定子と回転子の吸引力となり、SRモータ特有の騒音の要因となります。