haratkhr技報

SRモータ技術研究所

パワーコントロールユニット

インバーター、昇圧コンバーター、DC-DCコンバーターで構成されるパワーコントロールユニットが搭載されているハイブリッド車があります。

各装置の役割、推定の基本構成は以下の通りです。

 

インバーター

直流電力を、交流に変換しモータを駆動し、発電した交流電力を直流に変換し電池を充電します。

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 3相ブリッジ回路を使用し、角度センサー信号で変調された、電圧可変の正弦波インバータが使用されます。

 インバータの出力の正弦波電圧の位相は、速度起電力の正弦波電圧の位相と同期し、電圧差で電流値と電流方向が決まります。

PWM制御のL’を使用した降昇圧チョッパーとして動作します。

 電流指令が+の場合はモーター、-の場合は発電になります。

モーターの電流が、電流指令値と同じになる様、出力の正弦波電圧を変化させ、PWM制御のタイミングを制御します。

 

昇圧コンバーター

回転数が上がって、速度起電力が電池電圧に近づくと電流が流れなくなり、それ以上回転数を上げることが出来なくなります。

そこで、昇圧コンバーターを使って電池電圧(350V)より高い電圧(最大650V)を作り、回転数を上げれる様にしています。

回路方式は各種考えられますが、Lを使用した昇圧コンバータが最適です。

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DC-DCコンバーター

ハイブリッド車は2系列の電源で動作しています。

低電圧系 12V

高電圧系 350V(650V)

普通の車は、低電圧系の12Vをオルタネータで発電しています。

ハイブリッド車は、DC-DCコンバーターを使用して、高電圧系(350V)より低電圧系の12Vにコンバートしています。

この装置も、回路方式は各種考えられますが、Lを使用した降圧チョッパー回路があります。

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電流が大きくダイオードの損失が大きくなるため、下記の降圧同期整流回路が用いられます。

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パワーコントロールユニットに使用されている回路は、全てハーフブリッジインバータの応用回路です。

2つのスイッチが同時にONすることがなく、且つ休止期間が短く、交互に損失が少なく、適切なタイミングに切り替えることが要求されます。

 

昇降圧動作

スイッチの1つにダイオードを使用して、電流方向をきめると、昇圧か降圧に動作が決まりますが、同期整流回路に使用されるFETは双方向に電流を流せるため、FETのON、OFFタイミングにより、昇圧と降圧に動作が切り替わります。

(上記の同期整流回路は、制御を変更すると、12Vから350Vへの昇圧コンバータになります。)

 

尚、回路図に記載していませんが、FETのDS間には内臓ダイオードが接続されており、FETをONさせなくても、DからSへ電流は流せます。