haratkhr技報

SRモータ技術研究所

エアコンの通信

エアコンの室内外間通信と電気回路を調べました。

 

エアコンが故障し、LEDが点滅し動かなくなりました。

 エアコンの取り扱い説明書では、「LEDの点滅は室内機と室外機との通信異常」となっています。

 

1.室内機と室外機間の接続電線と通信 

 接続電線は3芯VVFΦ2.0が使用されています。

  黒線-白線で電力供給(AC100V/15A)、

 赤線-白線で通信(DC24V/10mA)をしています。

  接続(通信)回路図

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赤線は小電流ですが、電力線と同等の絶縁耐圧が必要です。

 DC24V電源とフォトカプラーを使用し、固定抵抗で電流を設定した双方向のシリアル通信です。

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混信の恐れが無い為、リモコン信号よりシンプルです。

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通信回路の動作は正常で、故障等により正常信号が返ってこない状態です。

 

2.電気回路

 室内機

   制御基板

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ファン用モータは、インダクションモータから効率の高いSPMへと置き換わってきていますが、単相誘導モータ(回転数エンコーダ付)をSSR(S102T01)で位相制御しています。f:id:haratkhr:20181206212555j:plain

 室外機

  電気回路図

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                メンテナンス用の接続図です。

  制御基板

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低価格化の要求が強い白物家電向けの、モータ制御用タイマ(ITU)を内蔵の16ビットマイコン「H8/3039」を搭載しています。

インバ-タモジュールはSTK650-314が使用されています。

コンプレッサーのモータは三相誘導電動機で、VVVFインバータで駆動しています。

 

3.故障状況

〇リモコンで暖房運転にすると、室内機のCPUは室内温度センサー確認後、リレーをONにします。

〇室外機の電源が入り、室外機のCPUは室外温度センサー確認後、室内機に正常状態の信号を返します。

〇室外機のCPUは一定時間後、インバータ駆動信号を発生させコンプレッサーのモータを回そうとしますが、約0.3回転ほど回って停止します。

〇この時のCPU駆動信号は異常と思われますが、インバ-タモジュールの入力信号に対する出力電圧は正常です。

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   (PWM制御が全くされていなく、電流が大きくなっている。)

〇モータを不接続の場合も停止するため、短絡電流検出回路で停止してない。

〇制御回路は起動シーケンスを3回試行後「通信異常」を表示する。

 

故障箇所の推定

CPU内部のモータ制御用タイマ(ITU)の異常と思われます。

 但し、ITU以外は正常動作しています。