リチウムイオン電池を調べました。
2020 06 29 追記
リチウムイオン電池は、リチウム電池の負極をリチウム合金より、リチウム吸蔵物質に代えた電池です。
リチウムイオン電池は従来電池と異なる新しい動作の様に説明されていますが、動作原理はリチウム電池、ニッケル水素電池と同等と考えます。
(リチウムイオン電池の名称はリチウム電池と区別するためのネーミングで、「リチウムイオン」に動作原理上の意味はないと思います。)
関連
1.一般の説明
水系電解液電池は原理的に1.5V前後の起電力ですが、非水系電解液電池は3V以上の起電力が得られます。
リチウムイオン電池は有機溶媒を用いた非水系電解液の二次電池です。
・電極での反応式
ALi ⇔ A+Li++e–
BLi ⇔ B+Li++e–
Liがリチウム、Li+がリチウムイオン、e–は電子、A、B は電極材料
・ALi 、 BLi という化合物が、リチウムイオンと、電子を放出して、A、B 単独になる反応です。
・矢印を逆にみれば、A、B がリチウムイオンと電子を吸収してALi、BLi になる反応です。
・ALi→A+Li++e–の方が、BLi→B+Li++e–より起こりやすいとすると、
放電の場合、ALiがAになり、BがBLiになり、
充電の場合、AがALiになり、BLiがBになる反応が起こります。
・ALi→A+Li++e–と、BLi→B+Li++e–のどちらが起こりやすいかの差が電池電圧になります。
2.ギブズエネルギーをもとにした説明
・リチウムイオンが負極に居るよりも正極に居たほうが化学的に安定であるのを利用した電池である。
・電池電圧は正極と負極におけるリチウムイオンの化学ポテンシャル差である。
・充電 : 外部から電気エネルギーをもらい化学的に不安定な状態(Liイオン@負極)になる。
・放電 : 負極から正極にリチウムイオンが移動して化学的に安定な状態(Liイオン@正極)になる。
・放電反応式
Vac@正極 + Li@負極 → Li@正極 + Vac@負極
Vacはリチウムが抜けた状態を意味する。
・正極にLiCoO2、負極にカーボン(C)を使った場合には、
CoO2 + LiC6 → LiCoO2 + C6
・化学反応で得られる電気エネルギーは、ギブスエネルギー⊿Gです。
⊿G={G(Li@正極)+G(Vac@負極)} - {G(Vac@正極) + G(Li@負極)}
⊿G=-n F V
Fはファラデー定数(~96500 C/mol)、nは反応中に流れた電子量(モル)
3.リチウムイオン二次電池における吉野彰の業績
安全で高容量のリチウムイオン二次電池 (LIB)を考案、開発した。
開発された要素技術
・負極:炭素、正極:コバルト酸リチウム(LiCoO2) とする基本構成
・負極に適用可能である特定の結晶構造を持つ炭素材料の発見
・電極、電解液、セパレータなどの構成要素に関する技術発明
・ 安全素子技術、保護回路技術、充放電技術などの実用化技術