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SRモータ技術研究所

LC-CO2

LC-CO2 (ライフサイクルCO2)を調べました。

 

LC-CO2 は、脱炭素への影響を評価するために、製造から廃棄までのライフサイクルのCO2排出量を算出して評価する手法です。

 

1. 太陽光パネル

自然エネルギー発電では、製造時に排出されたCO2の削減に必要な時間を CO2PT(CO2ペイバック・タイム)と呼び評価に使用されています。

 各種太陽光パネルの CO2PT

   多結晶シリコン型:2.7年

   アモルファスシリコン:1.5年

   化合物薄膜(CIS):0.4年。

太陽電池の寿命は少なくとも20~30年と考えられ、製造時のCO2は使い始めて間もないうちに相殺できます。

 

2. 蓄電池

ICCT(国際クリーン交通委員会)がまとめた資料によると、リチウムイオン電池バッテリーの製造に容量1kWhあたり56~494KgのCO2が発生するとされています。

火力発電の電力は1kWhあたり455gのCO2を排出してつくられています。

製造時に排出されたCO2の削減に必要な充電回数を CO2PC(CO2ペイバック・サイクル)として計算しました。

太陽光発電より蓄電池への1回の充電でのCO2の排出低減が0.455Kg/KWhとすると、 CO2PCは、124~1085回となります。(56/0.453~497/0.455)

サイクル寿命が500回以下の電池を使用した蓄電池ではCO2の削減が困難と思われます。

 

3. EV

電気自動車は、走行中に温暖化の原因物質を排出しないこともあり、環境に優しいクルマだとされていますが、製造時に排出される温室効果ガスの量は、ガソリン車を上回ります。

走行時に排出される温暖化物質の量の比較では、

  電気自動車の燃費は、ガソリン車換算で1リッターあたり約34キロメートルです。

  ガソリン車の燃費の平均で10.6キロです。

  HEVの燃費は25-30キロメートルです。

 

脱炭素の推進には、LC-CO2 に基づく合理的な科学的根拠が必要です。

 

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