haratkhr技報

SRモータ技術研究所

SRB

SRモータ、SRGは励磁エネルギーを介して、電気エネルギーと機械エネルギーを交換しています。

エネルギーの交換装置をSRB(スィチドリラクタンスボックス)と名づけて、エネルギーの流れを説明します。

電磁エネルギーは左から右へ、機械エネルギーは下から上へとなります。

SRMは励磁電力Peが機械出力Output Pm、回生電磁電力Output Peへ変換されます。

SRGは励磁電力Peと機械入力Pmが発電出力Output Prへ変換されます。

幅はエネルギー量を表しています。

力率の低いSRBは縦長で、Pmの割合が低くなります。

SRBに入るエネルギー容量は決まっており、変換毎に蓄積エネルギーはゼロになります。

変換出力を大きくするには、SRBの容量を大おきく、変換回数を多くします。

SRBは変換時の損失は含まれていません。

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SRBは能率の悪い変換装置で、入力したエネルギーの半分以下しか出力エネルギーにならない、ことが分かりやすくなる様に考えました。

 電源とSRBとの間でエネルギーのやり取りが大きいが、出力エネルギーが小さいです。

 

SRモータの検討を始めた時、こんなに能率の悪いモータと思っていませんでしたが、いろいろ考えたところ上記のようになりました。

(間違いで、もっと能率がよければ、ハッピーですが。)

 

悲観的になってはいません。原理は改善できませんが、現行のSRモータの改善要素はたくさんあり、すべて(寸法、損失、コスト)半減出来るとして検討を進めています。

SRG(HB回路)

SRモータを力行、制動、発電回生、逆転動作をさせる場合は、HB回路を使用します。

電流を流す区間(インダクタンスの増加区間、減少区間)と電流値により、トルクの値と方向が変化します。

 HB回路の二つのスイッチのオン、オフを制御することにより、励磁巻線に印加される電圧値と極性をかえ、電流を設定します。

 

力行はインダクタンスの増加区間の前部3/4期間に電流を流し、正方向のトルクを発生させます。

制動、発電回生はインダクタンスの減少区間に電流を流し、逆方向のトルクを発生させます。

逆転は逆転時のインダクタンスの増加区間の前部3/4期間に電流を流し、逆方向のトルクを発生させます。

逆転時のインダクタンスの増加区間は、正転時のインダクタンスの減少区間と少しズレがありますが、ほぼ同一です。

トルクの値はモータの場合と同様にンダクタンスの変化率と電流値により決まります。

励磁巻線に印加される電圧は、スイッチのオン、オフ、電源電圧、巻線抵抗電圧及びスイッチのオン電圧により決められます。

インダクタンスへの印加電圧は、励磁巻線電圧と速度起電力を合成したものです。

インダクタンスへの印加電圧により、電流が増減します。

増減率は 印加電圧/インダクタンス に比例します。

インダクタンスに印加される電圧は、速度起電力、巻き線抵抗電圧及びスイッチのオン電圧の変化により、変化します。

 

設定トルくを維持するには、設定した電流値になった後、スイッチのオン、オフにより、インダクタンスに印加される電圧の平均がゼロになるよう制御します。

S1、S2のduty比を変えることにより、励磁巻線に印加する電圧値と極性をきめます。

(下の例では、励磁巻き線への印加電圧Vは E から ーE まで変えれます。)

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 duty比による電圧を平均値で表示すると次のようになります。

前部の高電圧で電流を設定し、その後、速度起電力と励磁巻線への印加電圧が等しくし、インダクタンスの印加電圧をゼロにすると電流は一定になります。

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力行、逆転時と制動、発電回生時は速度起電力の方向が逆になります。

電流のdI/dtに速度起電力の方向が影響しています。

速度起電力はトルク、機械出力とリンクしています。

 力行、逆転時時は電源から速度起電力に電流を流しエネルギーを供給し、

 制動、発電回生時は速度起電力から電源に電流を流しエネルギーを回生しています。

 

SRG(SRC回路)

SRモータを励磁し外力を加えて回転させると、SRG(SR発電機)になります。

 発電機の場合、励磁エネルギーを電源へ回生する必要が無いため、スイッチが一つのSRC回路と呼ばれる回路がよく用いられます。

励磁電源よりエネルギーをSRGに加えて励磁し、負荷電源へ発電エネルギーを供給します。

発電エネルギーの1/2は励磁エネルギーにまわされます。

SRC回路の動作は励磁期間が異なる2つの方式があります。

 

1.短期励磁期間方式(高励磁電圧、低負荷電圧方式)

正対時に励磁巻き線にスイッチをオンし、高い電圧を印加すると励磁電流が急増していきます、それと同時に、回転子の突極と固定子の突極引き合い、回転子を固定しようとします。

短時間で、励磁電流が設定電流値に到達すると、スイッチをオフし励磁を停止し、ダイオードを介して負荷電源へ電流が流れる状態になります。

回転子に外力を加えて、非正対時の方向へ回転させると、インダクタンスが減少することにより、励磁巻き線に速度起電力が発生します。

励磁巻き線のインダクタンスには 速度起電力-(負荷電圧+ダイオードのオン電圧+Ix巻き線抵抗)の電圧が印加されますが、印加電圧がゼロになるように負荷電圧を設定すると電流はほぼ一定となります。

(インダクタンスへの印加電圧が正の場合電流は増加し、負の場合は低下します。)

このとき速度起電力による電流x負荷電圧が発電出力になります。

非正対時を過ぎてインダクタンスが増加すると速度起電力は反転し負荷への電流は急減します。

 

2.長期励磁期間方式(低励磁電圧、高負荷電圧方式)

正対時に励磁巻き線にスイッチをオンし、低い電圧を印加すると励磁電流が増加していきます。

スイッチをオンしたまま、回転子に外力を加えて、非正対時の方向へ回転させると、インダクタンスが減少することにより、励磁巻き線に速度起電力が発生し、励磁電源電圧に速度起電力がたされて励磁巻き線に印加され、励磁エネルギーが増加します。

回転子が非正対までの約2/3まで進む時まで、スイッチはオンを保ち、励磁エネルギーは増加し続けます。

回転子が非正対までの約2/3に達すると、スイッチはオフし励磁を停止し、ダイオードを介して負荷電源へ電流が流れ、励磁エネルギーが回収され発電となります。

短い1/3の区間で電流を流しきるため、負荷電圧を高く設定します。

下の回路の動作は同一ですが、励磁電源と負荷電源のつながり方が異なります。

負荷電源よりDC-DCコンバータを介して励磁電源へエネルギーを送ります。

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SRGは高効率でなければ、発電できません。

 励磁エネルギーは大きく、発電エネルギーの1/2が必要です。

SRMの場合、機械出力が5で、損失が5の場合は、エネルギー10を入れれば回転しますが、

SRG場合、発電が5で、損失が5ならエネルギー出力はゼロです。

 効率が低いモータの場合、ブレーキとして使えますが、発電はできません。

 

SRモータの設計データ

SRモータについて考えてきましたが、SRモータの実力がどの程度なのかよく分かりません。

文献、資料を探しても設計データが揃っている例は見つかりませんでした。

SRモータの汎用品はありませんし、SRモータを使用した市販の機器もありません。

唯一、SRモータを使用した電動工具が販売されています。

 

SRモータの設計データを入手し、検証を進めていきたいと思っています。

 

SRモータの検証の設計データ

 モータ仕様 相数 極数

 定格電圧、定格電流、定格出力、定格トルク

 インダクタンス、磁路断面、巻数、線径、ギャップ長

 

機械出力の検証

標準的な設計で、小出力より大出力までシリーズで製作された中から、一機種の機械出力 を机上検証しました。

メーカーよりの公表は出力とトルクのみでその他はユーザーの計測値です。

 

SRモータ仕様  4相 固定子8極 回転子6極

励磁回数/回転=8極x6極/2=24回

1相の励磁回数/回転=24回/4相=6回

定格回転数 6000rpm

駆動周波数 6000rpm /60sx6/2=300Hz

 

6000rpm以下の定格出力と定格トルクの関係(グラフ)は、計算通りになります。

  5.5Nmx2x3.14x6000rpm/60s=3.45KW

  最大トルクは103%となっていますが、?です。

6000rpm以上は駆動回路で差がでるため、検証できません。

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特性

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飽和電流値

  電流波形から判断して30A

サイクルエネルギー

  1/2x(6.5mH-0.6mH)x(21Ax21A)=1.3J

  1/2x(6.5mH-0.6mH)x(30Ax30A)=2.66J

出力の計算 (定格出力3.5KW)

  1.3J(21A)x24回x6000rpm/60s=3.12kW

  2.66J(30A)x24回x6000rpm/60s=4.08kW

トルクの計算 (定格トルク5.5N・m)

  1.3J(21A) X24回/2x3.14=5.0N・m

  2.66J(30A)X24回/2x3.14=10.2N・m

機械出力 の計算法で定格と計算値が近い値になっています。

 

抵抗電圧降下

  0.1Ωx21A=2.1V

  0.1Ωx30A=3.0V

銅損

  0.1Ωx21Ax21A=44.1W

  0.1Ωx30Ax30A=90W

鉄損 

   スーパーコア、磁束密度を1テスラ、300Hz、重量10Kgとすると約70Wになります。

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磁路断面、巻数、線径、巻線マド断面、ギャップ長のデータはありません。

インダクタンス値のグラフは30°の範囲でしたので、?です。

 

 比較

3相 IMモータ2極 (SRモータ4相8/6極 )

定格電力3.7KW   (3.5KW)

定格電圧200V    (200V)

定格電流13.8A      (21A) 

駆動周波数60Hz    (300HZ)

定格回転数3510rpm  (6000rpm)

効率89.1% 

力率87.6% 

始動電流115.6A 

定格トルク 9.52N・m ( 5.5N・m)

始動トルク289%

最大トルク398%   (103.1%)

質量34Kg       (15Kg)

外形Φ220mm

 

3相 IMモータ4極 

定格回転数1750rpm  (6000rpm)

定格トルク 20.2N・m ( 5.5N・m)

最大トルク338%   (103.1%)

 質量37.0Kg      (15Kg)

 

3相 IMモータ6極

定格回転数1160rpm  ( 6000rpm)

定格トルク 30.5N・m (5.5N・m)

最大トルク338%    (103.1%)

 質量40.5Kg       (15Kg)

 

このSRモータは低トルクですが、高周波数駆動の高速回転で出力を大きくしています。

 

 

機械出力

実機の機械出力の測定は計測設備が必要です。

計算では、機械出力は、平均トルクと2πと回転数/秒の積で求められます。

トルクの瞬時値は回転角度の変化に対する、励磁エネルギーの変化量でもとめられますが、変動、休止区間、励磁巻線の重複があり複雑です。

 

 以下の台形の励磁電流波形OABOが、矩形の励磁曲線のループoaboと等価として、1回転中の励磁サイクルエネルギーを累積して、 機械出力と平均トルクを計算することにしました。

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  機械出力=(1回転中の励磁サイクル数 x 励磁サイクルエネルギー)x1秒間の回転数

 平均トルク=(1回転中の励磁サイクル数 x 励磁サイクルエネルギー)/ 2 π

 

1回転中の励磁サイクル数はSRモータの極数により異なります。

以下の例で数えてみると、

  2相 固定子2/回転子2極 -> 2回

  2相 固定子4/回転子2極 -> 4回

  3相 固定子6/回転子4極 -> 12回

  4相 固定子8/回転子6極 -> 24回

  励磁サイクル数=固定子数x回転子数/2 となりました。

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励磁サイクルエネルギー(矩形電流駆動の場合)は、

  1/2x(LmaxーLmin)xIxIとなります。

      Lmax:正対時のL値 Lmin:非正対時のL値

      注:Lmax 、LminはIを重畳して測定する。

 

モータの極数、正対時のL値、非正対時のL値 、最大電流Iにより、機械出力とトルクが求まります。

 

今後、データを使って検証していきます。

低周波チョークの励磁曲線

鉄心の飽和領域の実例として、低周波チョーク(安定器)の励磁曲線を紹介します。

 

定格時は直線で、最大負荷時は少し曲がっています。

定格時は特性、損失より不飽和領域で動作し、短絡時は電流が温度規格の上限を超えない飽和領域近傍に設定しています。

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鉄心カタログのB-H曲線よりATに換算してもとめた曲線を、ギャプのATの直線に、平行移動しを合成すると励磁曲線が求められます。

最大磁束密度Bm:定格時における磁束密度の最大値

短絡最大磁束密度Bms:短絡時(最大負荷時)における磁束密度の最大値

 

励磁曲線を回転、反転、比率調整するとVーI曲線になります。

 

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鉄心の飽和領域を利用した特性改善の可能性について考えてきましたが、

連続運転トルク時は不飽和領域を使用し、

短時間運転トルク時のみ飽和領域近傍を使用するとします。

 

励磁エネルギーと機械出力

SRモータは、回転子が非正対位置から正対位置まで移行する間に、励磁エネルギーを増加させながら、機械出力を得ています。

すなわち、電源から電流により励磁エネルギーを供給しその一部が機械出力になっています。

電流を一定にすると、励磁エネルギーの増加量、機械出力が一定になります。

 

その様子を以下の例で考察してみました。

励磁エネルギーの供給と機械出力を時間的に分け、巻き線の抵抗はゼロとしました。

 

1.回転子が非正対と正対の中間で、インダクタンスがLのとき、回転子を固定して、電流が一定値Iになるまで巻線に電圧を印加します。

 

2.電流がIになったら、エネルギーの供給を停止し、巻き線を短絡して電流、励磁エネルギーをを保持します。dI/dt=0)

 

3.励磁エネルギーにより、回転子に力Fがかかります。

回転子の固定を解除して、正対位置方向へ、時間⊿tをかけて、⊿X動かすと、力F×⊿Xの機械出力が得られます。

機械出力は励磁エネルギーから供給されるので、励磁エネルギーがF×⊿X減少します。

F=1/2× ⊿L/⊿X×(I)2 すなわち F×⊿X=1/2× ⊿L×(I)2となります。

回転子が⊿X動いたので、インダクタンスはL+⊿Lとなっています。

 励磁エネルギーの減少と、インダクタンスの変化に合うように、電流が⊿I低下しています。

 (巻き線の両端は短絡されているが、内部で仮想速度起電力Eがインダクタンスに印加されて電流が低下します。E/L=⊿I/⊿t)

 

4.回転子を固定して、電流が一定値Iになるまで、再度巻き線に電圧を印加します。

同じ電流Iにもどしてもインダクタンスの変化分、励磁エネルギーは増えています。

 電源より励磁エネルギーの増加分の2倍が供給され、励磁エネルギーの減少分(F⊿Xの機械出力)、インダクタンスの変化による励磁エネルギーの増加分にあてられます。

インダクタンスの変化による励磁エネルギーの増加分=1/2× ⊿L×(I)2

 回転子を固定している時は、仮想速度起電力Eはゼロです。

 

5. 2.へ

 

以下同じループになります。

 

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上記の励磁電流波形は、SRモータをPWM制御している場合の励磁電流波形と類似しています。(モータが回転している場合は、仮想速度起電力Eが発生しているため、印加電圧がE低くなり、電流のdI/dtが低くなります。)

このような動作が連続でおこなわれているのが、SRモータの動作と考えます。

 

考察

非正対時の励磁エネルギーより、正対時の励磁エネルギーの差(サイクルエネルギー)が機械出力となる。

インダクタンスは電流により変化するため、励磁エネルギーの計算は、各電流値でのインダクタンス値を用いる。

 通常、非正対から正対へ移行途中で、励磁を停止し、電源へ回生させ、回生中も機械出力が出し、励磁を停止した時の励磁エネルギーの一部を機械出力にまわします。

 

おことわり

この考察の吟味、検証は出来ていません。

 

 

整流子

DCモータ、ユバーサルモータは整流子で制御されています。

低コストで、位置検出と駆動回路を構成しています。

メンテが必要で寿命が短いと否定的にとらえられていると思いますが、15000~20000rpmの回転数が得られ、耐ノイズ性、分解能、信頼性は高いと思います。

車のオルタネーターにブラシが使われています。

スパークが発生しない、オルタネーターの寿命は3000時間以上と推定します。(10万Km/30Km/h)

初期の新幹線の主電動機に直流電動機が30年使われました。

スパークが発生せず、温度上昇がなければさらなる長寿命が期待できます。

 SRモータ用の位置検出には、耐ノイズ性、分解能より、整流子が最適と考えています。

 

 多極数の整流子のデジタル信号より、絶対位置情報を得る、SRモータ用の位置検出方式を考え、ASSRモータで、実用試験を行っています。

 

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               電車用直流電動機の多極数の整流子

可変リラクタンス型レゾルバ

ハイブリッド車のモータの位置検出センサーとして、高精度、長寿命、高い耐環境性の性能をもつ可変リラクタンス型レゾルバ(VR型レゾルバ)が使用されています。

回転子と固定子間のギャップを回転につれて変化する様にすると、トランスの一次P,二次S間の結合が変化することを利用しています。

Pを励磁し、Sの電圧変化で位置を検出する動作説明になっています。

ギャップが微妙に異なる形状の回転子により設定される、12個のコイルの電圧を演算することにより、絶対の位置を検出しています。

 

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SRモータの位置検出センサーとしての検討もされていると思います。