haratkhr技報

SRモータ技術研究所

単相誘導モータの速度制御

扇風機のモータにはコンデンサ始動式単相誘導モータがつかわれ、回転速度を変えています。

強風 無負荷 1700rpm(羽無し)

強風 1280rpm

中風 900rpm

弱風 680rpm

風を変え、巻線電圧、コンデンサ電圧を測定してみました。

f:id:haratkhr:20170422164610j:plain

回転速度を制御していると言うより、トルクとファン抗力とのバランスで回転数が決まっているように思います。

巻線の抵抗値が大きく、巻線電圧を低下させトルクを落としている様です。

 最近のDCモータの扇風機の入力電力はACモータの約1/3のため、ACモータの効率は30%以下と思います。

単相誘導モータのコンデンサ 始動式

コンデンサ始動式の場合、S巻線電圧が始動時と定格回転時とで異なります。

カゴ型ローターの抵抗値が巻線と並列に入り、速度起電力が巻線に発生するためベクトル図は難解ですが、単純に電圧の三角形を描くと下図になります。

f:id:haratkhr:20170422143222j:plain

1.コンデンサを常時接続する場合

S巻線の磁束密度を定格回転時の電圧で飽和磁束密度近くに設定すると、始動時S巻線の磁束密度が低くなるため始動トルクが小さくなります。

S巻線の磁束密度を始動時の電圧で飽和磁束密度近くに設定すると、定格回転時は電圧が高くなり飽和の問題が生じます。

従って巻線の効率が悪くロスが大きくなる。

コンデンサの電流で力率は改善される。

 

 2.遠心スイッチを使う場合

S巻線の磁束密度を始動時の電圧で飽和磁束密度近くに設定すると、始動時S巻線の磁束密度が高くなるため始動トルクが大きくなります。

定格回転時は電圧が高くなり飽和の問題が生じるため遠心スイッチでコンデンサを切り離す必要があります。

2組の励磁電流が必要なため力率は低く、改善には別にコンデンサを設置する必要がある。

 

小出力モータはコンデンサを常時接続、中出力以上は遠心スイッチ式になっている理由と推定します。

 

インバータ始動式は遠心スイッチを使うコンデンサ始動式に近く、電圧を可変できる点が異なります。

インバータ始動式

引き続き検討していました、単相誘導モータ インバータ始動式のの基本設計及び基本動作確認が完了しました。

f:id:haratkhr:20170420223940j:plain

この回路図は構成を示す概念図です。

60Hz、50Hz共用です。

定格回転数になると励磁電圧が上昇するの検出しインバータを自動停止します。(遠心スイッチと同等の機能です。)

負荷が大きく、滑りが多くなりすぎた場合、励磁電圧が低下しトルクが低下するのを防ぐため、インバータが再動作し励磁電圧を定電圧制御しトルクを維持します。(新機能です。)

カゴ型ローターの抵抗値が大きい場合、滑りが多くなると、励磁電圧が低下します。誘導モータの性能にこの抵抗値が大きく影響していると感じました。

 

このアナログ回路の制御方式、及びインバータ始動式のメリットが引き出せる追加機能をソフト仕様書にまとめ、マイコンのプログラム開発を行いデジタル化します。

 ユニークな機能があればいいのですが、出来る事は始動巻線の励磁電圧の制御のみです。

 コンデンサ始動式の弱点を克服する機能を考えています。

 

モータの理解を深める教材として検討しています。

SRモータの弱点

1.力率が低い

力率が低いとインバータ駆動の半導体スイッチの電流が大きくなり、オンロスが増えます。

 

2.巻線の稼働率が低い

標準の6/4突極3相SRモータの場合、働いているいる巻線は1/3のにで、2/3の巻線は休んでいます。

DCモータは全巻線が常に働いています。

この稼働率が低いのが最大の弱点で、トルク/体積比が低い主原因と思います。

 

3.励磁エネルギーの回生

誘導モータとSRモータは励磁エネルギーを電源と出し入れしています。

トルクを得るため励磁して、不要になったら回生しなければならない仕組みは不利です。

 

4.SRモータの騒音

励磁エネルギーの蓄積、回生を行うことにより、回転子と固定子の吸引力が変化することによりSRモータ特有の騒音が発生する。

 

NewSRモータは、永久磁石又は、電磁石による常時励磁と交流駆動により4つの弱点を解消します。

 

出願した特許が登録になる可能性は少ないと考えています。

現在普及はしていませんが、当然あるべき内容の出願です。

全く勘違いしているか、どこかに公知例があると予想しています。

 通常の出願では、公知例が出てくる事を予想して、多数の請求項を設け、狭い権利範囲でも登録になること狙いますが、今回は請求項は1つにしました。

ビジネスはほとんど考えていません。

 

1年以内に国際出願するか否かの判断が必要ですが、費用が10万円以上かかるので躊躇しています。

 

 

 

模擬開発完了

主電源DC140V(330μF)、IPD制御電源DC18V、制御回路、ハイサイドドライバー回路、FETブリッジ回路を作成し、動作確認用試作品は完成しました。

f:id:haratkhr:20170416171649j:plain

完成後、抵抗負荷で出力試験を行いました。

f:id:haratkhr:20170416171703j:plain

動作確認後、モータを接続し始動試験を行いました。

f:id:haratkhr:20170416222727j:plain

無事、十分なトルクが得られ始動しました。

始動時のS巻線への出力電圧はコンデンサ始動方式(90V0pの正弦波)より大きく(140V矩形波)出来るため、理論上の始動最大トルクは大きくなります。

回路動作は安定で、インバータの損失はほとんどありません。

定格回転数になると自動的に電流が低下し、動作を続けても不具合はありませんが、騒音は大きくなります。

波形は想定と差異がありますが、後日の検討とします。

励磁電流波形は直接測定できませんが、電源電圧と同相の台形波電流が得られていると推定しています。

専用モータを作成し、PPインバータ、マイコン制御にすると商品化出来る用途があると感じました。

模擬開発の目的は設計者教育に付け加えて、この技報の単相誘導モーターの原理の再確認でした。

 

結論

単相誘導モータの始動トルクは電流と直交磁束の関係で発生しており、回転磁界と滑りで始動トルクを説明するのは不適切である。

 

引き続き検討しますが、模擬開発はこれで完了とします。

 

インバータ始動方式の総合評価は、後日、時間をかけたいと思っています。

 尚、詳細が必要なら、御連絡をお願いします。