haratkhr技報

SRモータ技術研究所

B-H曲線について

SRモータの検討を始めた時、インターネット上の文献を集めました。

同じようなB-H曲線が多数掲載されていました。

その一例として、 著名な研究者の資料の中に、電流-磁束鎖交数の図に緑色のループと電流波形が掲載されていました。

下図は、その図の形状を模写したものです。

その図をみて、出力はループの面積に比例し、赤色のループにすると出力が大きく出来ると思ました。電流さえ増やせば、簡単に大出力が得られると思いました。

その後、 検討を進めてきて現在は、青色のループとなりました。 

 

この技報では以下の通りとします。

 ・飽和領域を使用するとムダな励磁電流が流れる。

・ギャップ長を広くするとB-H曲線が右へシフトし最大出力が大きくなる。

・ギャップ長を広くするとB-H曲線の上下の幅が狭くなり力率が低くなる。

・非正対時のL値がゼロに近づくとB-H曲線の上下の幅が広くなり力率があがる。(力率の最大値は50%)

・不飽和領域のループの面積は機械出力に比例するが、飽和領域のループの面積は出力に比例しない。

 

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飽和領域を使用した場合の機械出力の一例を示します。

励磁エネルギー量の差を機械出力エネルギー量とすると、飽和領域を使用しても、機械出力エネルギー量は増加しません。

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インダクタンス

インダクタンスの求め方を紹介します。

L=V / dI/dtの関係があります。

波形よりV 、 dI/dtを求め計算しL値を求めます。

チョーク電圧と電流検出抵抗の電圧をCRで微分した電圧を比較することによりインダクタンスの直線性(V ーdI/dt特性)が分かります。

不飽和での測定例(シュミレータ波形)を以下に示します。

 実機では許容範囲内で最大の電流をながし、飽和させます。

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飽和した場合、V ーdI/dt特性は上部、下部で水平方向に曲がります。

B-I曲線 (B-H曲線)

通常、インダクタンスの測定は,以下の回路で商用電源より電流を流し、V Iより計算でLを求め、機械角-インダクタンス図が作成されます。

しかし、この図では鉄心の飽和によるインダクタンスの変化のデータが入っていません。

 

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飽和特性の把握は重要です。

チョークの設計で飽和特性を測定するには、VーI特性の測定に加えてB-I曲線を求めます。

 

不飽和での測定例(シュミレータ波形)を以下に示します。

AC9Vより1mHのチョークに23.9A流し、磁束は電圧をCRによる積分により得ています。

このシュミレータは鉄心の飽和特性が設定できませんので不飽和となっていますが、実機では許容範囲内で最大の電流をながし、飽和させます。

この方法では、ヒステリシスを含んだ正確なB-I曲線がえられます。

積分時定数、電流検出抵抗値は測定誤差が生じないように設定します。

電源波形の歪、周波数の誤差はB-I曲線への影響はありません。

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飽和した場合、B-I曲線は上部、下部で水平方向に曲がります。

ギャップが無い場合は幅を持ったヒステリシスカーブになります。

 機械角を変えて得たB-I曲線を合成すると、B-H曲線になります。

新B-H曲線  3

ギャップ部は新しいB-H曲線ではありませんが、巻線の鉄心部は新しいB-H曲線にです。

ギャップ部は従来と同一の黒色のB-H曲線です。

ギャップ部の磁束は巻線部の磁束と永久磁石の磁束が加算されます。

巻線の鉄心部は-bの逆方向にバイアスされた赤色のB-H曲線です。

磁路断面積が1/2なので、1/2の+bで飽和します。

永久磁石部は+bの緑色の直線です。

左図は1.5Tの逆バイアス、右図は低めの逆バイアスをかけています。

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ハイブリッドSRモータ(特許第3349966号)のB-H曲線を考えました。

1.5Tの逆バイアスの場合、巻線の鉄心部の磁路断面積を約1/2に出来ますが、電流は2倍必要です。

発明の詳細な説明の中にはB-H曲線、逆方向にバイアスとの記載はなく、「投入した電磁石のエネルギーを、永久磁石利用することによって効率良く出力として取り出すことができることになる。」と記載されています。

[図2] 図1に示すハイブリッド型磁石の引き離し力を測定するための図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。

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出願より20年が近づいています。(出願日1998.11.11)

 

新B-H曲線  2-2

引き続き、SRGを考えてみました。

o ー>b->a->o のループになります。

ギャップ長が短いo ー>b間で励磁しエネルギーを蓄積します。

ギャップ長が広がるb->a間は励磁巻き線両端を短絡し機械エネルギーを加え励磁エネルギーを蓄積します。

ギャップ長が長いa ー>o間で励磁しエネルギーを回生発電します。

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2相にしてみました。

励磁エネルギーが少なく高効率が期待できる可能性があります。

尚、特許出願は考えていませんが、すでに出願されているかもしれません。

新B-H曲線  2-1

SRモータの基本から離れて、励磁エネルギーの回生が無いB-H曲線 のSRモータを考えてみました。

ギャプ寸法をスコッチ・ヨーク機構で直線的に変化させます。

o ー>a->b->o のループになります。

ギャップ長が長いo ー>a間で励磁しエネルギーを蓄積します。

ギャップ長が縮まるa->b間は励磁巻き線両端を短絡し機械エネルギーをとりだします。

a->b間はSRモータと同様にL値は増加します。

bに於けるギャップ長をゼロにすると、励磁エネルギーの回生はゼロになります。

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新B-H曲線 1

トルク、励磁電流、力率等がどうなるかわかりませんが、B-H曲線を右図の様に曲げる手段はあります。

どんな動作になるか、頭の中で考えています。

特性の改善につながる可能性はゼロでないと思っています。

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このBlogでは、概要紹介が主で詳細を記載していない場合が多いですが、連絡頂ければ検討致します。

 

SRB

SRモータ、SRGは励磁エネルギーを介して、電気エネルギーと機械エネルギーを交換しています。

エネルギーの交換装置をSRB(スィチドリラクタンスボックス)と名づけて、エネルギーの流れを説明します。

電磁エネルギーは左から右へ、機械エネルギーは下から上へとなります。

SRMは励磁電力Peが機械出力Output Pm、回生電磁電力Output Peへ変換されます。

SRGは励磁電力Peと機械入力Pmが発電出力Output Prへ変換されます。

幅はエネルギー量を表しています。

力率の低いSRBは縦長で、Pmの割合が低くなります。

SRBに入るエネルギー容量は決まっており、変換毎に蓄積エネルギーはゼロになります。

変換出力を大きくするには、SRBの容量を大おきく、変換回数を多くします。

SRBは変換時の損失は含まれていません。

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SRBは能率の悪い変換装置で、入力したエネルギーの半分以下しか出力エネルギーにならない、ことが分かりやすくなる様に考えました。

 電源とSRBとの間でエネルギーのやり取りが大きいが、出力エネルギーが小さいです。

 

SRモータの検討を始めた時、こんなに能率の悪いモータと思っていませんでしたが、いろいろ考えたところ上記のようになりました。

(間違いで、もっと能率がよければ、ハッピーですが。)

 

悲観的になってはいません。原理は改善できませんが、現行のSRモータの改善要素はたくさんあり、すべて(寸法、損失、コスト)半減出来るとして検討を進めています。

SRG(HB回路)

SRモータを力行、制動、発電回生、逆転動作をさせる場合は、HB回路を使用します。

電流を流す区間(インダクタンスの増加区間、減少区間)と電流値により、トルクの値と方向が変化します。

 HB回路の二つのスイッチのオン、オフを制御することにより、励磁巻線に印加される電圧値と極性をかえ、電流を設定します。

 

力行はインダクタンスの増加区間の前部3/4期間に電流を流し、正方向のトルクを発生させます。

制動、発電回生はインダクタンスの減少区間に電流を流し、逆方向のトルクを発生させます。

逆転は逆転時のインダクタンスの増加区間の前部3/4期間に電流を流し、逆方向のトルクを発生させます。

逆転時のインダクタンスの増加区間は、正転時のインダクタンスの減少区間と少しズレがありますが、ほぼ同一です。

トルクの値はモータの場合と同様にンダクタンスの変化率と電流値により決まります。

励磁巻線に印加される電圧は、スイッチのオン、オフ、電源電圧、巻線抵抗電圧及びスイッチのオン電圧により決められます。

インダクタンスへの印加電圧は、励磁巻線電圧と速度起電力を合成したものです。

インダクタンスへの印加電圧により、電流が増減します。

増減率は 印加電圧/インダクタンス に比例します。

インダクタンスに印加される電圧は、速度起電力、巻き線抵抗電圧及びスイッチのオン電圧の変化により、変化します。

 

設定トルくを維持するには、設定した電流値になった後、スイッチのオン、オフにより、インダクタンスに印加される電圧の平均がゼロになるよう制御します。

S1、S2のduty比を変えることにより、励磁巻線に印加する電圧値と極性をきめます。

(下の例では、励磁巻き線への印加電圧Vは E から ーE まで変えれます。)

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 duty比による電圧を平均値で表示すると次のようになります。

前部の高電圧で電流を設定し、その後、速度起電力と励磁巻線への印加電圧が等しくし、インダクタンスの印加電圧をゼロにすると電流は一定になります。

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力行、逆転時と制動、発電回生時は速度起電力の方向が逆になります。

電流のdI/dtに速度起電力の方向が影響しています。

速度起電力はトルク、機械出力とリンクしています。

 力行、逆転時時は電源から速度起電力に電流を流しエネルギーを供給し、

 制動、発電回生時は速度起電力から電源に電流を流しエネルギーを回生しています。

 

SRG(SRC回路)

SRモータを励磁し外力を加えて回転させると、SRG(SR発電機)になります。

 発電機の場合、励磁エネルギーを電源へ回生する必要が無いため、スイッチが一つのSRC回路と呼ばれる回路がよく用いられます。

励磁電源よりエネルギーをSRGに加えて励磁し、負荷電源へ発電エネルギーを供給します。

発電エネルギーの1/2は励磁エネルギーにまわされます。

SRC回路の動作は励磁期間が異なる2つの方式があります。

 

1.短期励磁期間方式(高励磁電圧、低負荷電圧方式)

正対時に励磁巻き線にスイッチをオンし、高い電圧を印加すると励磁電流が急増していきます、それと同時に、回転子の突極と固定子の突極引き合い、回転子を固定しようとします。

短時間で、励磁電流が設定電流値に到達すると、スイッチをオフし励磁を停止し、ダイオードを介して負荷電源へ電流が流れる状態になります。

回転子に外力を加えて、非正対時の方向へ回転させると、インダクタンスが減少することにより、励磁巻き線に速度起電力が発生します。

励磁巻き線のインダクタンスには 速度起電力-(負荷電圧+ダイオードのオン電圧+Ix巻き線抵抗)の電圧が印加されますが、印加電圧がゼロになるように負荷電圧を設定すると電流はほぼ一定となります。

(インダクタンスへの印加電圧が正の場合電流は増加し、負の場合は低下します。)

このとき速度起電力による電流x負荷電圧が発電出力になります。

非正対時を過ぎてインダクタンスが増加すると速度起電力は反転し負荷への電流は急減します。

 

2.長期励磁期間方式(低励磁電圧、高負荷電圧方式)

正対時に励磁巻き線にスイッチをオンし、低い電圧を印加すると励磁電流が増加していきます。

スイッチをオンしたまま、回転子に外力を加えて、非正対時の方向へ回転させると、インダクタンスが減少することにより、励磁巻き線に速度起電力が発生し、励磁電源電圧に速度起電力がたされて励磁巻き線に印加され、励磁エネルギーが増加します。

回転子が非正対までの約2/3まで進む時まで、スイッチはオンを保ち、励磁エネルギーは増加し続けます。

回転子が非正対までの約2/3に達すると、スイッチはオフし励磁を停止し、ダイオードを介して負荷電源へ電流が流れ、励磁エネルギーが回収され発電となります。

短い1/3の区間で電流を流しきるため、負荷電圧を高く設定します。

下の回路の動作は同一ですが、励磁電源と負荷電源のつながり方が異なります。

負荷電源よりDC-DCコンバータを介して励磁電源へエネルギーを送ります。

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SRGは高効率でなければ、発電できません。

 励磁エネルギーは大きく、発電エネルギーの1/2が必要です。

SRMの場合、機械出力が5で、損失が5の場合は、エネルギー10を入れれば回転しますが、

SRG場合、発電が5で、損失が5ならエネルギー出力はゼロです。

 効率が低いモータの場合、ブレーキとして使えますが、発電はできません。