haratkhr技報

SRモータ技術研究所

ユニバーサルモータの回転原理

ユニバーサルモータの回転原理はBLI則によって説明されている。

レミングの左手の法則によって電線に力が働くと分かりやすく説明されているが、実際のモータには鉄心があり電線を横切る磁界は弱く、電線にかかる力は弱いと思われる。

 

調べてみることにした。

 

ユニバーサルモータの回転子の巻き線をほどき、再度鉄心に触れない様にボビンをつかって巻きなおした。

電源を接続したら正常に回転した。

ボビンをつかみ巻き線への力をみてみたが、力は感じなかった。

電線にかかる力で鉄心を押しているのでなく、回転子と固定子の鉄心間の吸引力により回転している

 

2017 07 03 磁束密度を考える

 

 モータの原理と効率 の中の、直流モータの巻線の構成と磁束の例は以下の通りです。

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ユニバーサルモータのの磁束密度例は以下の通りです。

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回転子が静止状態では速度起電力はゼロで、回転子の巻線の電流により、磁束が曲げられる事によりトルクが発生していると考えます。

巻線の電流を大きくするとトルクは増加しますが、鉄心の飽和により制限されます。

回転子の鉄心は、巻線のスペースを確保するため細く、飽和でトルクが制限されるのがユニバーサルモータの弱点と思います。

 

回転子が回転すると、巻線に速度起電力が発生します。

上の図で回転子が回転すると、巻線と鎖交する磁束30が増減し、速度起電力になります。

速度起電力は、回転速度、及び固定子の巻線電流と比例関係にありますが、回転子の巻線電流は関係しません。

ダイナモ(発電機)の動作を考えると上記の説明は分かりやすいと思います。

発電機の出力電圧は回転数、固定子の励磁電流に比例し、出力電流に関係しない。

 

結論として、鉄心があるモータの回転子巻線には力は働かないが、速度起電力は発生し、回転子巻線の電流により鉄心に力が働らきトルクとなります。

 

 2017 07 16 速度起電力eとトルクT

 回転子が回転していない時、巻線の電流によりトルクTが発生しているが、速度起電力は発生していないため、トルクと速度起電力は無関係と考えられそうですが、速度起電力eとトルクTの関係は以下の様になっています。

 

トルクが発生する仕組みが分からなくても、以下の式は成立します。

出力[W] =T x 2πx回転数/秒=exI

 

固定子の巻線の磁束をΦとすると速度起電力は以下のようになります。

e=NxdΦ/dt

  ≒NxΦx4/√2x回転数/秒  

 

T ≒(NxΦx4/√2x回転数/秒xI)/(2πx回転数/秒)

 ≒2√2/πxNxIxΦ