力率を改善するには、正対時のL値と非正対時のL値の比を大きくする必要があります。
磁気回路の予備検討として、EI、UIコアを用いてL値を測定してみました。
Ri:正対時のL値(Lv+Lc)/非正対時のL値(Lc)
Ⅰ.EIコア
Iコアを回転子の突極、Eコアを固定子の突極と想定し、マド全体に巻き線を行い、EIコアの位置関係を変えて、L値を測定しました。(EI30 S=10X10mm 220T )
1.ギャップ長G-L値の関係
0.28mm/999mm=13.5mH/3.8mH=3.55
0.00mm/999mm=63mH/3.8mH=16.5
2.1 Iコアの位置-L値の関係X (G=0.3mm)
Ri=13.5mH/5.3mH=2.55
2.2 Iコアの位置X-L値の関係 (G=0.6mm)
Ri=9.4mH/4.9mH=1.92
hが長くwが短いと漏洩磁束が多くなる。
漏洩磁束が多くなると、IコアがなくてもL値は大きい。
正対時のギャプを小さく(例えば0.15mm)するとRiは大きくなるが、蓄積エネルギーが低下する。
Ⅱ.UIコア
UIコアに巻線位置を変えて、L値を測定してみました
測定結果 L値 [μH]
1. ギャップ=0.5mm
Aに巻き線を設けた場合の Ri=46/7=6.6
Bに巻き線を設けた場合の Ri=74/16=4.6
Cに巻き線を設けた場合の Ri=78/32=2.4
2. ギャップ=1.0mm
Aに巻き線を設けた場合の Ri=25/7=3.6
Bに巻き線を設けた場合の Ri=37/16=2.3
Cに巻き線を設けた場合の Ri=56/32=1.8
A B C の順でRiが大きくなりました。
Cの位置で漏洩磁束が多く、Riは小さくなります。
A Bは巻線を分割しているので有利か。
鉄心形状を考える場合、h、w、鉄心と巻き線の位置関係を考慮することが必要です。
hを小さくすると力率は上がると思いますが、巻き線の面積が少なくなり線径を細くしないと巻けません。
そこで、すべての電磁機器の課題である、巻線の占有率の問題にぶつかります。
占有率の向上に関する巻線技術として、角銅線、平角銅線、セグメントコンダクター、銅板、エッジワイズ巻線、完全整列巻線等がでてきます。