コンデンサ始動式の場合、S巻線電圧が始動時と定格回転時とで異なります。
カゴ型ローターの抵抗値が巻線と並列に入り、速度起電力が巻線に発生するためベクトル図は難解ですが、単純に電圧の三角形を描くと下図になります。
1.コンデンサを常時接続する場合
S巻線の磁束密度を定格回転時の電圧で飽和磁束密度近くに設定すると、始動時S巻線の磁束密度が低くなるため始動トルクが小さくなります。
S巻線の磁束密度を始動時の電圧で飽和磁束密度近くに設定すると、定格回転時は電圧が高くなり飽和の問題が生じます。
従って巻線の効率が悪くロスが大きくなる。
コンデンサの電流で力率は改善される。
2.遠心スイッチを使う場合
S巻線の磁束密度を始動時の電圧で飽和磁束密度近くに設定すると、始動時S巻線の磁束密度が高くなるため始動トルクが大きくなります。
定格回転時は電圧が高くなり飽和の問題が生じるため遠心スイッチでコンデンサを切り離す必要があります。
2組の励磁電流が必要なため力率は低く、改善には別にコンデンサを設置する必要がある。
小出力モータはコンデンサを常時接続、中出力以上は遠心スイッチ式になっている理由と推定します。
インバータ始動式は遠心スイッチを使うコンデンサ始動式に近く、電圧を可変できる点が異なります。