電磁誘導による渦電流を利用した機器を調べました。
1.リターダ(渦電流減速装置)
渦電流による発電抵抗ブレーキで、大型トラックの補助ブレーキとして使用されています。
鋼鉄製ロータは導体と磁性体を兼ね、固定されたステータと回転するロータの間にブレーキ力が発生します。
リターダはトランスミッションの後部に出力軸とプロペラシャフト間に設けられています。
発電電圧は速度に比例するため、高速走行からの減速に適しています。
運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、放熱フィンより効率よく放熱され、フェード現象 の防止に役立ちます。
永久磁石式リターダ
永久磁石式リターダは、シンプルな構造で、消耗部品が無く、メンテナンスはほとんど不要です。
電磁石を使用したリターダもありますが、コスト、重量、電力、メンテナンス等の課題があります。
2.VSモータ
定速の三相かご形誘導電動機でVSカップリング(渦電流継手)を駆動し、VSカップリングの励磁電流を制御し出力軸の速度を可変出来ます。
インバータドライブが普及して、あまり使用されていませんが、堅牢、保守容易、制御簡単 等の理由で根強い支持があります。
ポンプ・ファン用ではインバータドライブをVSモータに更新する動きがあります。
3.渦電流式ディスクブレーキ
鉄道車両で使われる電磁ブレーキで、新幹線で採用されました。
リターダと同様に非接触でメンテナンス性に優れています。
4.IH調理器
ステンレス、鉄 の調理器具を渦電流で自己発熱させる誘導加熱です。
一般に、インバータ回路は一石共振式、HBインバータ が用いられていますが、プロフィール で紹介したアクティブクランプ回路も使用されていると思っています。
渦電流による力はアラゴの円盤 を参照して下さい。