haratkhr技報

SRモータ技術研究所

電力貯蔵電池

昼夜間電力、受電電力の平準化を目的とした、電力貯蔵電池が導入され始めています。

 

低コスト化がキーのため、実用に近いのは、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池および鉛電池です。

1.ナトリウム硫黄電池

負極:ナトリウム、正極:硫黄、固体電解質で構成されています。

固体電解質はNaイオン伝導性のあるベータアルミナのセラミック材料を使用し、作動温度は約300℃です。(硫黄の融点は116 °C)
技術的に実用の領域に達しており、鉛電池よりも省スペース(約1/3)で、メガワット(MW)クラスの大容量領域で採用されています。

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 ギブズエネルギーをもとにした動作説明

  ・ナトリウムNaとイオウSの反応は自発変化で、Naの出した電子をSが受けとる反応だから、

  電子のやりとりを別々の電極でさせれば電池ができる。

  ・反応

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  ・標準生成ギブズエネルギー表を探すとf:id:haratkhr:20200302114752j:plainがあるので、この値で計算します。

 f:id:haratkhr:20200406213902j:plainの標準生成ギブズエネルギーは-349.8 f:id:haratkhr:20200302105531j:plainで、

  上式のイオウ1モルあたりではその2倍だから、

  反応のギブズエネルギー減少分( J単位)は69960 Jとなる。
  このとき動く電子は4モル、その電荷はファラデー定数の4倍なので、

   69960 J = 4×96485 C × 電圧 より

   電圧= 1.81271V が得られる。

   (一般には、起電力=2.08-1.78V となっています。)

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2. レドックスフロー電池

バナジウムを含む希硫酸溶液を正負電極中に循環させ、バナジウムの価数が充放電により変化する電池です。

電解液量を多くすると電池の容量を増大できるため、MWクラス以上に向いています。

低コスト化の期待がありますが、ポンプ機構、充放電効率の課題があります。

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3.鉛電池

百年以上の歴史があり、海外を中心に採用されています。

改良により3,000サイクル以上の長寿命化が達成され、国内でも小中容量の用途に採用され始めています。