昼夜間電力、受電電力の平準化を目的とした、電力貯蔵電池が導入され始めています。
低コスト化がキーのため、実用に近いのは、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池および鉛電池です。
1.ナトリウム硫黄電池
負極:ナトリウム、正極:硫黄、固体電解質で構成されています。
固体電解質はNaイオン伝導性のあるベータアルミナのセラミック材料を使用し、作動温度は約300℃です。(硫黄の融点は116 °C)
技術的に実用の領域に達しており、鉛電池よりも省スペース(約1/3)で、メガワット(MW)クラスの大容量領域で採用されています。
ギブズエネルギーをもとにした動作説明
・ナトリウムNaとイオウSの反応は自発変化で、Naの出した電子をSが受けとる反応だから、
電子のやりとりを別々の電極でさせれば電池ができる。
・反応
・標準生成ギブズエネルギー表を探すとがあるので、この値で計算します。
の標準生成ギブズエネルギーは-349.8 で、
上式のイオウ1モルあたりではその2倍だから、
反応のギブズエネルギー減少分( J単位)は69960 Jとなる。
このとき動く電子は4モル、その電荷はファラデー定数の4倍なので、
69960 J = 4×96485 C × 電圧 より
電圧= 1.81271V が得られる。
(一般には、起電力=2.08-1.78V となっています。)
2. レドックスフロー電池
バナジウムを含む希硫酸溶液を正負電極中に循環させ、バナジウムの価数が充放電により変化する電池です。
電解液量を多くすると電池の容量を増大できるため、MWクラス以上に向いています。
低コスト化の期待がありますが、ポンプ機構、充放電効率の課題があります。
3.鉛電池
百年以上の歴史があり、海外を中心に採用されています。
改良により3,000サイクル以上の長寿命化が達成され、国内でも小中容量の用途に採用され始めています。