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SRモータ技術研究所

水素の作り方

水素社会の実現に必要な「水素の作り方」を調べました。

 

水素は、利用時に環境問題を引き起こさないクリーンなエネルギー源ですが、

現在主流となっている水素の作り方は、化石燃料からです。

1.化石燃料から作る方法

 ●水蒸気改質

大規模に、安価で製造が行なえるとして、現在世界中で最もポピュラーです。

天然ガス、石油燃料等を高温下で水蒸気と反応させることで水素や一酸化炭素を含むガスが発生します。

改質後、PSA(圧力変動吸着分離法)という過程で他の物質と分離し、水素だけを取り出します。

 実例

  横浜・大黒:脱硫ガソリンを原料に

  横浜・旭:ナフサを原料に

  千住:LPG(液化石油ガス)を原料に

  青梅:天然ガスを原料に

  市原:灯油を原料に水素を製造しています。

海外で低品質で使い道のなかった「褐炭」を原料に水素を製造して導入することも検討されています。

●部分酸化改質

燃料に少ない空気を混合して完全燃焼しないように燃焼させ、水素と一酸化炭素を生成する方法です。

水蒸気改質よりも水素の生成量は少なく、効率は劣りますが、外部から熱を加える必要がなく、反応が始まるまでの時間が短いメリットがあります。

 ●コークス炉ガス

コークスを製造する際、COG(コークス炉ガス)というガスが発生します。

COGには55%もの水素が含まれており、PSAで水素だけを取り出します。(コークスの製造で、水素は副次的に得られます。)

  実例

  セントレア水素ステーション:サブ的に製鉄所から運ばれて使われています。

  有明水素ステーション:液体水素の形で搬送され、気体化して使われています。

2.メタノールエタノールから作る方法

 ●触媒改質

メタノールエタノールと水を蒸発させ、触媒を使って反応させることで発生した水素を分離します。

バイオマス燃料を原料とするメタンガス、エタノールなども利用できます。

化石燃料よりも安全性が高く、また、水素製造時の反応温度も低く抑えられます。

  実例

 川崎水素ステーション:世界初のメタノール改質方式による水素供給設備です。

3.水から作る方法

 ●水の電気分解

電気分解に必要となる電力は、今の段階ではやはり化石燃料による火力発電の電力を使うことになります。

最初から化石燃料を改質して水素を作った方が効率は良いので、水の電気分解で水素を作る方法は現在のところ主流でありません。

(すべてを太陽光発電風力発電原子力発電による電力でまかなったとしても、「短時間に、大量に、低コストで」という面で見た場合に、やはり今の段階では効率的でありません。)

● 食塩電解

苛性ソーダを製造する際に発生する副生水素は約10億Nm3/年が外販されています。

  実例

 相模原水素ステーション

  再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」

 九州大学水素ステーション(固体高分子形水電解装置)

 

今後、再生可能エネルギーからの水素製造には、大規模かつ低コストで再生可能エネルギーの負荷変動に対応可能な水素製造装置の開発が必要です。