三相誘導モータのインバータ回路を見てみました。
ある日突然、エアコンが利かなくなりました。
室内機はタイマーランプが点滅。
室外機をみるとファンが回っていません。
ネットで検索してみると、室内機と室外機との通信異常。
取り付けて15年以上経って修理部品も無いだろう。
修理とインバータ回路を見ることとしました。
1日目
室外機の制御ブロックの取り外し。
回路構成調査
・整流回路(200V全波整流、チョークインプット)
・制御基盤(CPU制御回路、DC-DCコンバータ、ハイサイド電源)
・インバータモジュール
制御基盤半田チェック
コネクタ接続チェック
*外観上異常はみられない。
2日目
室内機の制御基盤の取り外して回路構成、外観チェック、異常は見られず、室内機は正常と判断しました。
室外機の制御基盤のコネクタの延長ケーブルを作成して、制御ブロックを取り外した状態で動作させ、シンクロで各部の電圧波形チェック。
・CPUのVdd端子電圧が0V
・DC-DCコンバータのVCE電圧が直流280V(自励発振回路が停止している。)
・自励発振回路を強制起動させて正常動作を確認
・発振回路構成及び部品チェック
*バイアス抵抗(酸化金属皮膜抵抗 220KΩ/2W)の外観異常は無いが、内部断線している。
印加電力=280Vx280V/220KΩ=356mW 0.356W/2W=0.18
ディレーティングをしても薄膜抵抗の偶発故障率は大きく、このような使い方は適切でないと思います。
3日目
バイアス抵抗取替え(30KΩチップ抵抗7直列)
組み立て
エアコンの機能確認
修理完了
インバータ回路はCPU制御の標準的な回路構成でした。
薄膜抵抗の断線トラブルは何度も経験しています。
高電圧高抵抗値の場合、必ず厚膜抵抗を使ってください。
抵抗1本の断線で数万台のエアコンが修理不可になるのはもったいない気がします。