haratkhr技報

SRモータ技術研究所

進角制御

エンジンやモータをスムーズに回転させるには、進角制御が必要です。

 

エンジンの進角制御

ガソリンエンジンの点火時期は、圧縮上死点の手前で点火した角度で表され、上死点を基準として点火進角と呼ばれます。

一般に、ピストンスピードが上がる程に点火時期は進角させると、混合気の燃え広りの遅れが解消されます。

エンジンの特性に合わせた点火時期の設定は、性能に大きく関係し、最新の刈払機 用エンジンの制御には、高性能CPUを使用してきめ細かく制御しています。

(例: https://www.honda.co.jp/engines/M4/GX25CDI/

進角させてやらなければならない

DCモータの進角制御

基本の位置関係は、ブラシの中心線を結ぶ直線と磁石の間の線を直角(中性)します。

しかし、負荷回転時には電機子反作用により界磁の磁束が進み、電流が遅れ、遅角になります。

遅角は、効率・電気ノイズ・寿命等を悪化させるため対策が必要です。

 

1.補助コイルよる補正

電車用電動機 は補助コイルを設け、電機子電流による磁束を打ち消し電機子反作用を軽減します。

   

2.ブラシ位相進角

予めブラシの位相を進角にして、負荷回転時の電機子反作用を相殺します。

適切な進角にすると、無負荷回転数が若干増加しその他の性能はほぼ近似なものになります。

無負荷回転数の変化量は12~15°の進角で6~8%です。

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  進角変更機構

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左のモータは、進角調整ネジを緩めてブラシホルダーを回転させると進角を調整できます。

 

3.整流子位相進角

ブラシの位相を中性位置のままで、予め整流子の位相で進角にします。

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 一般に、市販のラジコン用モータは、反時計方向回転に設定され、整流子位相で約15 度の進角がついています。

 

 進角モータを逆回転させると遅角になり、電気ノイズ及び寿命面で不利なものになるので、回転方向は一方向でなければなりません。

 進角付きモーターの判定は 順回転、逆回転での回転数と電流が異なることで分かります。

  

ブラシレスモ-タの進角制御

センサーレスブラシレスモ-タは巻線より磁束位相を検出するため、電機子反作用の影響を加味した進角制御になります。

角度センサーを使用したブラシレスモ-タも進角制御が必要と思います。