haratkhr技報

SRモータ技術研究所

低電圧アーク溶接機

家庭用コンセント100V15Aで使用可能な低電圧交流アーク溶接機 があります。

リーケージトランスの設計例として紹介します。

通常、トランスの2次電流は、2次電圧と巻線抵抗と負荷抵抗の関係で決まりますが、リーケージトランスの2次電流は、主として2次電圧とリーケジインダクタンスできまり、2次電圧と2次巻線を短絡した時の2次短絡電流値が電圧電流特性の基本になります。

電圧、電流はベクトル図で求めます。

低周波チョークの設計 を参考にしてください。

 

 低電圧交流アーク溶接機の回路はリーケージ式の絶縁トランスの1次巻線に商用電源、2次巻線に出力線が接続されています。

100Vの1次巻線が2組あり、100V・200Vの切替えはスイッチで1次巻線を並列接続と直列接続に切り替えます。

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2次電流はリーケージパスコアの抜き挿しでリーケージインダクタンスを変えて調整します。

 

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定格

1次電圧単相100/200V

無負荷入力電流3.5A

次入力容量5kVA

2次無負荷電圧37V

二次負荷電圧:25.5V

定格2次電流 40-110A

適合溶接棒Φ1.4~3.2mm (溶接棒は専用の低電圧溶接棒を使用)

適合板厚1.2~3.0mm

使用率:10%

 

巻線

1次

 t0.5mmx14mm アルミ板68ターン

 抵抗0.09Ω/100V 0.36Ω/200V 

2次

 t0.8mmx22mm アルミ板25ターン

 抵抗0.014Ω

巻線は銅線でなく、アルミ板を絶縁紙と重ねて巻いています。

100V入力で2次電流が40Aの時入力電流は約15A、2次巻線損失は22W(40Ax40Ax0.014Ω)です。

200V入力で2次電流が110Aの時入力電流は約20A、2次巻線損失は170W(110Ax110Ax0.014Ω)です。

 

鉄心

 バット組立で溶接でEIコアを繋いでいます。

 電磁鋼板t0.5mm

 磁路断面積 70mmx57mm

最大磁束密度Bm=100/4.44x68x0.07x0.057x50=1.66T(50Hz)

        =100/4.44x68x0.07x0.057x60=1.38T(60Hz)