電源とモータ間のエネルギーの伝達は速度起電力を介しておこなわれます。
回転中のモータには速度起電力(電圧)が発生しており、電流を流す事により電気エネルギーが供給され、機械エネルギーに変換されます。
エネルギー不滅の法則に従って変換され、変換損失はありません。
直流モータの速度起電力
固定子が励磁され、回転子が回転すると回転子に回転速度に比例した速度起電力がdΦ/dtにより、回転子電流の有無に関係なく発生する。
回転子に電流を流すと、回転子電流に比例したトルクが発生する。
電流の方向によりモータまたは発電機になる。
モータの電流値は電源電圧、速度起電力、回転子の巻き線抵抗できまる。
発電機の電流値は速度起電力(出力電圧)、回転子の巻き線抵抗、付加抵抗できまる。
励磁され回転子が回転すると、速度起電力は発生するが、トルクは電流の向きと値によりきまる。
仕事量=速度起電力×電流×時間
=トルク×移動量(トルク×2x3.14x回転回数)となる。
当然、速度起電力を外部より測定できます。
磁束を計算すると、dΦ/dtより速度起電力をもとめられます。
トルクは、上記の式を使って計算できます。
SRモータの仮想速度起電力
1つの巻線より蓄積エネルギーと機械エネルギーを供給し、電流がインダクタンスの影響を受け、Lが変化するため、動作は単純でありません。
通常のインダクタンスなら、印加電圧が一定なら電流がdI/dtが一定で電流が変化しますが、SRモータの巻線のLは回転に従って変化し,機械出力があるため、印加電圧が一定でも電流の変化は一定でありません。
SRモータの巻線電圧=nxdΦ/dtですが、
SRモータの巻線電圧 ≠ Lxdi/dtです。(Lが一定でないため)
SRモータの巻線電圧 ≠ 速度起電力です。
そこで、SRモータに、直流モータの速度起電力と同様の仮想速度起電力を規定し、直流モータの考え方が適用できるようにします。
等価回路を SRモータの等価回路 で紹介しています。
SRモータの仮想速度起電力は直流モータと異なり、計測器を接続し測定できません。
自己インダクタンスの磁束と仮想速度起電力が混じりあっています。
励磁巻線の両端を短絡した時も仮想速度起電力はゼロでありません。(電流波形からわかります。)
SRモータの仮想速度起電力は電流波形より計算すると推定はできます。
回転子が回転しても、励磁されなければ、仮想速度起電力、トルクは発生しません。
仮想速度起電力を導入する事により電流波形が説明できる様になります。
まとめると、
電流を決めているのは巻線のL値とLへの印加電圧です。
Lへの印加電圧は、巻線印加電圧と仮想速度起電力を加算した電圧です。
仮想速度起電力は測定できません。
Lへの印加電圧は測定できません。
電流波形より仮想速度起電力を計算により推定できます。
速度起電力(電圧)を直接取り出せません。
SRGはLを介して電流を制限されながら、エネルギーを取出すことになります。